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Claude と ChatGPT|社内スキルの利用状況が見える範囲

社内で使う手順を、スキルとしてまとめて配った。ここまでは進みます。
問題はそのあとです。使われているのかどうかが、どこを見ても分かりません。

月に一度、チャットで聞いて回る。返ってくるのは「たまに使っています」。これでは、どのスキルのどこを直せばよいかが決まりません。

この記事では、契約プランごとに何ができて何ができないかを整理します。そのうえで、足りない部分をスキルの書き方で補う考え方を示します。

本記事は 2026年9月3日 時点の情報にもとづく。

目次

契約プランによる、組織のスキル管理の可否

まず、配る側の話から始めます。スキルを個人で作って自分だけで使うぶんには、契約プランはあまり関係しません。組織の全員に配ろうとした瞬間に、プランが効いてきます。

Claude 側の条件

組織全体へのスキルの配布は、Team プランと Enterprise プランで使えます。配り方は、SKILL.md を含む zip ファイルをアップロードする形です。

ただし、その前に組織設定で二つの機能を有効にしておく必要があります。コード実行とファイル作成、それからスキルの二つです。

スキルは動作にコード実行を必要とするため、コード実行が無効だとスキルそのものが利用できません。

ここは見落としやすい箇所です。配ったのに誰も使えない、という状態は、この設定が切れているだけのことがあります。

出典:組織のスキルをプロビジョニングして管理する(Anthropic ヘルプセンター・2026年9月3日確認)

ChatGPT 側の条件

スキルは Business・Enterprise・Healthcare・Edu の対象ユーザーが使えます。ワークスペースの設定と提供状況によります。

管理者の画面からは、スキルの詳細を見る、アップロードする、ダウンロードする、アクセスできる相手を変える、所有者を移す、削除する、といった操作ができます。誰がどのスキルを使えるかを、ユーザー単位やグループ単位で決められます。

Enterprise と Edu の管理者は、どのロールにスキルの作成・利用・共有・インストールを許すかも見直せます。個人アカウントの側では、新しいカスタム GPT の作成と公開ができなくなりました。既存のものは引き続き使えます。

二つを並べて見えること

配る仕組みは、どちらも用意されています。ただし性格が違います。Claude は組織全体へ一括で配る形ChatGPT はロールやグループで配る先を絞る形です。

10名程度の会社なら、この差はまだ小さいものです。部署ごとに配るスキルを変えたくなった段階で、初めて効いてきます。

管理画面から確認できること

配れたとして、次は使われ方です。どちらの管理画面にも、利用状況を見るための区画があります。ただし、見える中身は同じではありません。

Claude 側で見えるもの

分析のダッシュボードには、グループ別・ユーザー別の利用状況とコストが表示されます。作られた成果物や編集されたファイルと並んで、使われたスキルやコネクタが、そのコストの隣に出る形です。

スキルは自身の利用状況とコストを報告します。プラグインの採用状況を追う項目も、分析 API に用意されています。ただし分析 API は Enterprise 限定です。

管理者が個別使用分析を有効にすると、メンバー自身も、製品・モデル・スキル別に自分の利用状況を確認できます。

ChatGPT 側で見えるもの

ワークスペース分析には、スキルの区画があります。表示されるのは二つです。スキルの利用トレンドと、メッセージアクティビティ別の上位スキルです。

CSV で書き出せるのは、GPT・ユーザー・プロジェクト・影響度調査の4種です。スキルは書き出しの対象に入っていません。GPT のレポートには、作成者のメールアドレス、送信されたメッセージ数、重複を除いた利用者数といった列が並びます。

つまり、GPT については誰が作って誰が何回使ったかまで組み立てられますが、スキルについては同じことができません。

出典:ChatGPT Enterprise と Edu のワークスペース分析(OpenAI ヘルプセンター・2026年9月3日確認)

両者に共通する二つの前提

細かい差はありますが、性格は似ています。共通する前提が二つあります。

一つは、集計であって生のログではないことです。ChatGPT 側のヘルプには、メッセージ本文やファイルの中身、項目単位の記録は表示されないと明記されています。生のログが要る場合は、コンプライアンス向けの別の仕組みを使う案内になっています。

もう一つは、更新が即時ではないことです。ChatGPT 側は通常6〜12時間、最大48時間を目標としています。今この瞬間に誰が何を使っているかは、どちらの画面にも出ません。

管理画面で分かるのは、スキルの名前と、使われた量の傾向までです。

管理画面には出ないが、改善に効くもの

回数と傾向が分かれば、よく使われているスキルは見当が付きます。ただ、それだけでは直す場所が決まりません。

スキルを直したいとき、本当に欲しいのは別の情報です。三つあります。

どこで止まったか

スキルは、いくつかの工程を順に通す指示書です。五つの工程があるなら、三つ目で止まったのか、最後まで通ったのかで意味が変わります。

回数だけを見ていると、この二つが同じ1回に見えます。呼ばれた回数と、最後まで通った回数は別のものです。同じ工程で毎回止まっているなら、直す場所はそこだと分かります。

指示のどこが曖昧だったか

スキルの書き方が足りないとき、AI はエラーを返すとはかぎりません。書かれていない部分を、その場で埋めて先に進みます。

結果は毎回それらしく出ますが、少しずつ違うものになります。使う側からは「なんとなく揺れる」としか見えません。揺れの原因は、指示の書かれていない隙間にあります

この隙間は、回数の集計には現れません。エラーですらないためです。

誰の作ったものが、誰にどう届いたか

社内でスキルを作る人が複数になると、作り手ごとの差が出ます。同じ業務でも、書き方によって使われ方が変わります。

ChatGPT 側では、GPT についてなら作成者と利用者数を突き合わせられます。ただしスキルは書き出しの対象外でした。スキル単位で作り手と使い手をつなぐ線は、いまのところ管理画面には引かれていません。

先に手を付けている人がいる

この不足に気づいて、自分で記録を取り始めた実務者がいます。Claude Code を使う開発者の記事で、スキルが動いたことを検出して記録を残し、その記録からスキルの修正案を作る仕組みが紹介されています。

その記事では、記録から拾えたものとして「エラーになった箇所」と「指示が曖昧で AI が補った箇所」の二つが挙げられています。上に書いた二つと同じものです。

ただしこの仕組みは、開発者向けの機能を使って組まれています。同じ形をそのまま持ち込むのは、非エンジニアには重い方法です。記事の後半でチームへ広げる設計にも触れていますが、書き手自身が運用実績のない設計段階だと断っています。

出典:チーム運用/展開を見据えた Claude Code のスキル運用(個人編)(Zenn・2026年9月3日確認)

足りないのは回数ではなく、止まった場所と、書かれていなかった箇所です。

足りない分は、スキルの書き方で補う

ここまでで、二つのことが分かりました。管理画面は回数と傾向までを見せる。改善に要るのは、止まった場所と、書かれていなかった箇所である。

この二つは、別々のところから取るのが素直です。管理画面は管理画面のままにして、足りない側だけを自分で作ります。

見える側と、作る側を分ける

どちらから何を取るかを整理すると、次のようになります。

スクロールできます
知りたいこと管理画面スキルに書かせる
どのスキルが多く使われたか取れる不要
誰が使ったかプランによる取れる
どの工程で止まったか出ない取れる
指示のどこが曖昧だったか出ない取れる
費用がいくらか取れる不要

左の列は、提供元が用意した仕組みに任せます。右の列だけを自分で作ります。両方を一つの道具でまかなおうとしないことが、この整理の要点です。

スキルは指示書なので、工程を足せる

スキルの中身は、手順を書いた文章です。プログラムではありません。ここが効いてきます。

手順の最後に工程をもう一つ足せば、その工程も実行されます。足す工程の中身は「決めた場所に、決めた形で1行を書き足す」だけです。

残す項目は多くしません。日時、スキルの名前、使った人、どの入口から入ったか、最後まで通ったか。この程度で足ります。項目を増やすほど、書くのを嫌がって工程が飛ばされます

機能を足したいときは、道具を増やすのではなく、指示書に工程を1つ書き足す。

この考え方は、記録以外にも使えます。実行の前に確認を1つ挟む、終わったら決まった相手に報告する、といった工程も同じ足し方です。

この組み立てが成り立つ条件

ただし、どこでも動く方法ではありません。成り立つ条件が四つあります。自社が当てはまるかを先に確かめてください。

この方法が使えない条件
  • コード実行とファイル作成が無効 … 組織設定で切れていると、スキル自体が動きません。
  • 無料のプランで使っている … 定期実行は有料プラン(Pro・Max・Team・Enterprise)でのみ使えます。
  • 各自のパソコンが動いていない時間帯 … 手元のファイルへの読み書きは、デスクトップアプリが開いているときに限られます。開いていない時間の記録は残りません。
  • 外部のサーバーへ直接送りたい … 書き込み先は、各自のパソコンの接続フォルダに限ります。コマンドが動く環境は、既定で外部のネットワークに出られません。

三つ目は、そのまま記録の抜けになります。夜間や休日に動かした分は残りません。集計するときは、そこを差し引いて読みます。

なお、この組み立ては筋道として示したものです。実際に社内へ配って回した結果は、まだ確認していません。動かした記録が取れた段階で、別の記事にします。

まとめ

配ったスキルが使われているか分からない、という引っかかりから始めました。

この記事の要点
  • 配る仕組みは整った … 組織へのスキル配布は、どちらの側でも用意されています。ただし前提となる設定があります。
  • 見えるのは名前と量まで … 管理画面から分かるのは、どのスキルがどれだけ使われたかの傾向です。集計であり、即時でもありません。
  • 足りない側は自分で作る … 止まった工程と、指示の隙間。この二つは、スキルに工程を1つ足せば残せます。

次に見るとすれば、自社の組織設定です。コード実行とファイル作成が有効かどうか。ここが切れていると、配ったスキルはそもそも動きません。

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