自分で書いた hello world をターミナルで動かせましたか?まだの人は是非習得してください。Pythonは最も理解しやすいプログラミング言語の一つで、当然のようにテキストの出力が可能です。でも、画面に文字を出すだけでは、できることは多くありません。実は、Pythonが本当に強力なのは、世界中の人が作った便利な部品 ──「ライブラリ」── を借りることができるからです。今日は、QRコードを作る部品を借りて、たった3行でQRコードを作ってみましょう。その過程で、部品を整理する「仮想環境」というお作法も身につきます。
1. ライブラリとは何か
Pythonは「必要なものだけ足す」設計
意外に思うかもしれませんが、Pythonには便利な機能が最初から全部入っているわけではありません。QRコードを作る、画像を加工する、表を集計する——こうした機能は、最初は入っていないんです。
なぜでしょうか。最初から全部の機能を積み込むと、重く、動かしにくくなるからです。だからPythonは、本体は最小限にして、必要な機能だけを後から自分で足していく設計になっています。これは弱点ではなく、むしろ賢いところです。
たぬきち最初から全部入れといてくれればいいのに。



全部入れると、使わない機能まで抱えて重くなるんです。必要なものだけ足す——この身軽さが、Pythonの強みなんですよ。
世界中の人が作った「部品」を借りる
後から足す便利な機能のことを、ライブラリと呼びます。世界中の開発者が作った部品が、無料で公開されています。自分でゼロから書けば何百行もかかる処理が、ライブラリを借りれば数行で済む。この部品の豊富さが、Pythonが世界中で使われている理由でもあります。
バイブコーディングでAIに作らせるツールも、ほぼ必ずこのライブラリを使っています。だから「部品を借りて使う」は、避けて通れない基本です。さっそく体験してみましょう。
2. ライブラリを使おうとすると……動かない
QRコードを作るコードを書く
QRコードを作る部品「qrcode」を使ってみます。新しいファイル qr.py を作って、次の3行を書きます。
import qrcode
img = qrcode.make("https://genba-kaizen.jp")
img.save("qr.png")1行目の import は、「この部品を使います」とPythonに伝える宣言です。借りてきた部品は、使う前にこの宣言で呼び出します。
1行目で部品を呼び出し、2行目でQRコードを作り、3行目で画像として保存する。たった3行です。保存して、ターミナルで実行します。
python qr.py実行すると「ない」と言われる
ところが、こんなエラーが出るはずです(エラーの最後の行に注目してください)。
ModuleNotFoundError: No module named 'qrcode'「qrcode なんて部品(モジュール)は無い」と言われています。でも、これは正常です。さきほど説明したとおり、便利な機能は最初から入っていない。だから、まず部品を取りに行く必要があるんです。記事Aで「Pythonが入っていないから動かなかった」のと、同じ構図ですね。


3. ライブラリの入れ方と、入れる場所
pip という道具で入れる
ライブラリを入れるには、pip という専用の道具を使います。pip はPythonに最初から付いてくるので、改めて入れる必要はありません。使い方はかんたんで、次のように打つだけです。
pip install qrcodeこれで qrcode という部品が手に入ります。
入れる場所の選択肢は2つある
ここで一つ知っておきたいことがあります。pip でライブラリを入れるとき、「どこに入れるか」を選べるんです。
- グローバル(Python全体)… 何も指定しないと、ここに入る
- 仮想環境(プロジェクト専用の箱)… 自分で箱を用意して、その中に入れる
小規模な開発なら、グローバルに入れても問題なく動きます。ただ、お作法として、プロジェクトごとに専用の箱(仮想環境)を作り、その中に入れるのが定石です。次で、その箱を作ってみましょう。
4. 仮想環境 ── プロジェクト専用の箱
なぜ箱を作るのか
仮想環境は、プロジェクトごとに用意する「専用の道具箱」です。記事Aで「フォルダ単位で作業する」と学びましたが、そのフォルダの中に、さらにそのプロジェクト専用のライブラリ置き場を作るイメージです。
プロジェクトごとに分けておくと、部品が混ざらず、後で整理されていて困りません。本領を発揮するのは、チームで環境を揃えるときや、別のPCで同じものを動かすときです。1人の小さな開発では実感が薄いかもしれませんが、最初から箱に分けておくと安心です。難しく考えず、お作法として身につけておきましょう。
箱を作る
作業フォルダを開いた状態で、ターミナルに次のように打ちます。
python -m venv .venvこれで .venv という名前の箱(仮想環境)が、フォルダの中にできます。


箱を開ける(有効化)
箱は、作っただけでは使えません。「開ける(有効化する)」必要があります。コマンドはOSで違います。
Windowsの場合:
.venv\Scripts\activateMac・Linuxの場合:
.venv\Scripts\activate成功すると、ターミナルの行頭に (.venv) と表示されます。これが「箱が開いている」目印です。作業が終わって箱を閉じたいときは deactivate と打ちます。


Windowsで有効化しようとして「スクリプトの実行が無効」というエラーが出ることがあります。セキュリティ設定によるものです。その場合は、表示されたエラー文をそのままAIや検索にかけると、対処法が見つかります。
5. 箱の中にライブラリを入れて、動かす
仮想環境の中で入れる
箱が開いた状態(行頭に (.venv) がある状態)で、ライブラリを入れます。
pip install qrcode今度は、グローバルではなく、この箱の中に qrcode が入りました。


実行すると、今度は別の部品が無いと言われる
では、最初に書いた qr.py を実行してみましょう。
python qr.pyところが、また別のエラーが出ます。エラーの最後の行を見てください。


ModuleNotFoundError: No module named 'PIL'今度は「PIL が無い」と言われました。実は、qrcode は、QRコードを画像にするために Pillow(PIL)という別の部品を使っているんです。ライブラリが、さらに別のライブラリを必要とする——これはよくあることで、決して失敗ではありません。
そこで、画像機能も一緒に入れ直します。qrcode の後ろに [pil] を付けると、画像用の部品(Pillow)も一緒に入ります。
pip install "qrcode[pil]"

エラーに出てくる「PIL」は、Pillow という部品のことです。歴史的な事情で、インストール名は Pillow、呼び出し名は PIL になっています。[pil] を付けて入れれば、名前の違いを気にしなくても大丈夫です。
もう一度実行する → QRコードができる
必要な部品がそろいました。もう一度 qr.py を実行します。
python qr.py今度はエラーが出ず、フォルダの中に qr.png という画像ファイルができているはずです。開いてみると——QRコードが表示されます。スマホで読み取れば、指定したURLに飛びます。


QRコードを自分でゼロから作るのは大変ですが、部品を借りれば、たった数行でできた。これがライブラリの力です。



文字を出すだけだったPythonが、部品を一つ借りるだけで、こんなに実用的になる。ライブラリの世界には、画像加工も、表計算も、Webからのデータ取得も、ありとあらゆる部品がそろっていますよ。
6. まとめ
お疲れさまでした。この記事でやったことを振り返ります。
- ライブラリ=世界中の人が作った部品。便利な機能は最初から入っておらず、必要なものを自分で足す
- ライブラリは、さらに別のライブラリを必要とすることがある(qrcode は画像用に Pillow を使った)
- pip で入れる。入れる場所はグローバルと仮想環境があり、お作法として仮想環境(プロジェクト専用の箱)に入れる
- 操作の流れ:箱を作る(venv)→ 開ける(activate)→ ライブラリを入れる(pip install)→ 使う
Python(実行環境)に、ライブラリ(部品)と仮想環境(整理棚)が加わって、ようやく実用的な開発環境になりました。ここまで来れば、あとは「どんな部品を借りて、何を作るか」です。
画面・手順は解説用です。バージョンや画面は2026年6月時点。最新は各公式ページで確認してください。

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